椎間板ヘルニアの原因【運動や仕事との関係】
当サイトでも、約20年の治療経験から『力仕事や日常動作はヘルニアとあまり関係しない』というスタンスでお話させて頂きますが、ヘルニアについては『まだハッキリ解明されていない』ということだけはご理解ください。
運転・仕事と椎間板ヘルニアの関係
120人ほどの調査なので医学的根拠はそれほど高くないですが、仕事による負担は『椎間板損傷やヘルニア発生の原因と関係しない』という論文が2007年に出ています。
また、片方がトラックドライバーなどの運転手をしている『一卵性双生児45組』を調べた研究では、運転手だからと言って『椎間板の損傷が強かったりヘルニアが多く発生する』という事実はなく、車の運転は椎間板ヘルニアの原因にならないという論文が出ています。
【参考】椎間板ヘルニアは遺伝も大きな原因
運動はヘルニアの原因にならない
野球、ゴルフ、水泳、ジョギング、エアロビクス、テニスなどの運動を行う287人を対象に、『年齢・性別・地域』を統一して椎間板の損傷について調査した結果、ほとんどの運動が『椎間板ヘルニアの原因とは言えない』と判断されました。
さらに他の運動で言うと、ハンドボールを2500日以上、もしくはトライアスロンを10年以上行っていて、腰痛や坐骨神経痛のない男性の現役運動選手19名(41~69人)のMRI診断が行われました。
その結果を、同じように腰痛などのない(運動量が一般的な)人と比較したところ、椎間板の異常は同程度しか見られませんでした。
椎間板のすり減りは腰痛の原因の1つ
また、運動と椎間板ヘルニアの関係を調べた別の研究では、レスリングや体操、サッカーやテニスで過去にトップクラスの選手だった134人(27~39歳)と、同じくらいの年齢の(運動選手ではない)28人を比較したものがあります。
比較の結果わかったことは、両者は『腰痛の頻度に差がないこと』と、ヘルニアなどで椎間板のすり減りが大きいと『腰痛の原因になる』という2点、つまりは『運動とヘルニアは関係しない』という結論でした。
これらの研究報告から、『運動が椎間板ヘルニアの原因になる』とは言えない、というのが現状のようです。
タバコはヘルニアの原因になる
仕事などの動作ではないですが、1日にタバコを10本吸うと、椎間板ヘルニアのリスクが約20%上がるという報告があります。
また、一卵性双生児で、片方がタバコを吸い、もう一方が吸わない22組を調査した結果、タバコを吸う側は腰椎全体(第1~第5まで)の椎間板の状態が18%も悪化していました。
一卵性双生児の場合は、遺伝子レベルが近い人同士の比較をできるため、より根拠の高い研究ができます。
そのため、22組と研究対象の数は多くないですが、タバコが椎間板に悪影響を与えるというのは信頼性があると思われます。