椎間板ヘルニアの寝方による痛みと、寝ている時の症状
こちらでは、仰向けが腰痛を引き起こす7つの原因と改善法の、5つ目の原因である『神経痛型』についてお話します。
寝方で腰痛に強弱が出る神経痛型
仰向けで寝たときに腰が痛い場合は、猫背型や反り腰型(※詳しくは仰向けが腰痛症状を引き起こす『7つの原因』と改善法 で説明)が多いのですが、さらに横向きの寝方でも痛い場合は別の原因が考えられます。
寝返りは一般的な腰痛でも出るので該当しませんが、横向きで寝ていると腰が痛い場合は、ぎっくり腰などの炎症性の腰痛を除けば『神経痛型』と『内臓疾患型』の2つが考えられます。
神経痛型の症状と原因
腰の神経が何かしらの原因により圧迫を受けると、『お尻から足先のどこか』に痛みや痺れが出たり、力が入りづらいなどの感覚異常が現れます。
この状態を『神経痛』と呼び、腰に関して言えば、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛と脊柱管狭窄症が代表的です。
その中で、寝方で痛みが変化しやすい症状は、椎間板ヘルニアによる神経痛、坐骨神経痛の2つが多くなります。
寝ている時の椎間板ヘルニアによる痛み
椎間板ヘルニアで神経痛が出ている場合は、横向きでも腰や足に痛みが出やすくなり、症状が非常に強い場合は軽い寝がえりでも強い痛みが出ます。
猛烈な痛みでない場合は、『右向きで寝ると腰が痛いけど左向きは少し楽』など、左右の横向きで症状に偏りが出る場合もあります。
これは、横向きで寝ると背骨が横に曲がる(たわむ)ため、それにより片側向きの寝方では神経圧迫が起こりやすく、逆向きでは大丈夫という状態が考えられます。
椎間板ヘルニアは腰猫背が原因になる
椎間板ヘルニアの原因は、少なからず遺伝の影響も受けますが、腰猫背が大きく関係しやすいため、日ごろの生活を気を付けることも大切です。
腰猫背は、椎間板の構造的に『ダメージを受けやすい姿勢』になるため、椎間板ヘルニアの大きな原因には、『腰猫背』の習慣を意識することも大切になります。
また、椎間板を何度も傷めることで、その負担が積み重なり、脊柱管狭窄症という腰の病気の原因になるという整形外科医の書籍※もあります。
※【参考書籍】 腰痛を治すのは、医者ではなく、あなたです
(補足)脊柱管狭窄症について
脊柱管狭窄症は、短い人ですと『5分ほど歩くとお尻から足全体に痺れや痛み』が出て、座って腰を丸くすると症状が落ち着くのが特徴です。
なので、横向きで背中を丸くして寝ていると、足に神経痛は感じづらく、寝ているときは症状が出ても腰痛程度の方が私の治療経験上は多くみられます。
脊柱管狭窄症は、腰猫背になることで『神経の圧迫が少なくなる構造』のため、教科書的な考え方ですと『横向きで腰を丸めて寝ると痛みが減りやすい』のも特徴です。
椎間板ヘルニアの改善法
椎間板ヘルニアによる強い坐骨神経痛の症状は、日常生活の姿勢を気を付けたりストレッチをしたからといって、すぐに改善するものではありません。
激痛や強い痺れ、感覚麻痺などが出ているようであれば、整形外科やペインクリニック(麻酔専門医)で痛みをコントロールしながら、自然治癒力(時間の経過による治癒)に頼らなくてはいけない場合もあります。
ある医学論文によると、激痛を伴う椎間板ヘルニアでも『90%弱の人が1年後には大幅な自然回復をする』と書かれているため、残りの15%前後の人は手術が必要になると考えられます。
ただ、激痛まで行かない症状であれば、腰痛を得意としている整体院などで治療を行っていくことも、症状改善の近道になると思います。
坐骨神経痛について
次のページでは、仰向けでも横向きの寝方でも腰痛が出る『神経痛型』 の、坐骨神経痛について詳しく説明します。