腰痛は寝方で予防!腰に良いのは仰向け・うつ伏せ・横向き?
人生の『4分の1』から『3分の1』は睡眠時間に当たるため、腰痛予防を考えるときは、正しい寝方を知ることが大切になります。
『仰向けで寝ると腰が痛い』という方も少なくないので、まずはうつ伏せや横向きの寝方と比較して、仰向けが『どれだけ腰に負担が掛かるか』を説明していきます。
その後、『仰向けになると腰が痛い』という症状や、それに対する対処法や改善方法についてお話します。
仰向けが腰痛予防に向く3つの特徴
うつ伏せや横向きの寝方と比較した時に、仰向けが『腰痛予防に向く部分』は大きく3つ考えられます
1つ目の特徴は『椎間板への負担が最も少ない』で、2つ目が『肩がつぶれない』こと、3つ目が『背骨の腰部分が反り過ぎない』ことです。
これらの3つの特徴について、1つずつ説明していきます。
仰向けは椎間板の負担が最も少ない寝方
仰向けが『腰痛予防に効果的な理由』をお話をするために、まずは『腰の構造』について簡単に触れておきたいと思います。
腰の背骨は『腰椎(ようつい)』と呼ばれ、5つの骨が『だるま落とし』のように積み重なっています。
その積み重なった腰椎と腰椎の間に、クッションの役割を持った椎間板と呼ばれる『ゼリー状』の軟骨が挟まっています。
この椎間板に負担が掛かり続けると、腰から足先の痛みや痺れ(坐骨神経痛)の原因となる、椎間板症や椎間板ヘルニアという症状が出やすくなります。
横向きは仰向けの3倍の負担が掛かる
一般的な体型の方だと、椎間板の負担は『仰向けを100とすると横向きは300』と、寝方が原因で3倍も違うことが分かっています。
これは、仰向けで寝ているときは体が真っ直ぐなのに対して、横向きの寝方だと、体を安定させるに膝を少し曲げる必要が出てます。
体は一箇所が曲がると重心(バランス)を真ん中に保とうとするため、膝が曲がった分、体全体で膝が曲がった方向とは逆の動きをします。
それにより、背骨全体が後ろに少し曲がり(背中を丸めた状態になり)、腰の部分の背骨(腰椎)も猫背のような形になります。
本来、腰の背骨部分は軽く反っている(お腹の方に出っ張る)ため、元々の背骨の形が崩れると、椎間板に負担を掛ける原因にもなります。
腰に悪い寝方が習慣化するだけでも、このような『本来とは違う背骨の形』が長期間続いてしまうため、腰痛や坐骨神経痛(腰から足先までの症状)の原因になります。
仰向けでも椎間板に負担が掛かる姿勢
仰向けでも『枕が高すぎる寝方』だと、頭の位置が天上に近くなるため、ほんの少しだけ体が『くの字』に曲がります。
そうすると、横向きで寝たときと同じように、頭が前方に来た分だけ、背骨全体が後ろに曲がる原因を作ってしまいます。
それにより腰の椎間板に負担が掛かりやすくなり、さらには背中全体の筋肉のコリにもつながるため、肩こりや腰痛の症状が出やすくなります。
『椎間板にかかる負担』の内容をまとめますと、腰に良い寝方が習慣化するだけでも腰痛予防になり、軽い症状であれば改善法にもつながる、ということになります。
仰向けは骨格の歪みを作りにくい
仰向けは『体の歪みの原因になりづらい』ため、腰痛の予防法や対処法にもなり、言い換えますと『症状を遠ざける寝方』だとも言えます。
詳しい理由について、うつ伏せと横向きと比較してお話したいと思います。
うつ伏せが骨格の歪みを作る理由
うつ伏せは、特殊な枕を使わない限り『真っ直ぐ下を向いて寝ること』ができないため、顔を右か左に大きく向けて寝なくてはなりません。
顔を左右に大きく向けた寝方だと、首や肩の背骨や筋肉に強い負担が掛かるため、肩こりや寝違えなどの症状を引き起こす大きな原因となります。
さらに、うつ伏せで右を向いた寝方の場合は左アゴ、左向きなら右の『顎(がく)関節が圧迫』を受けます。
その状態が長期間続くと、顎関節症の原因となり、口を開くたびに音がしたり、口が開かなくなったり痛みが出たり、頭痛の症状も出やすくなります。
うつ伏せで寝る習慣がある方は、うつ伏せで寝続ける内に、顔を向けやすい・向けにくい方向が『骨格の歪み』として定着します。
そうすると、寝るとき以外でも首を動かしやすい方向と苦手な方向が決まり、関係ないようでも、それが腰痛の原因にもなっています(詳しくは後述)
また、仰向けでも『顔を左右に向けた寝方』をしていると、肩こりなどの症状を引き起こしやすく、歪みとして定着してしまえば腰痛の原因にもなります。
横向きの寝方が骨格の歪みを作る理由
横向きの寝方は、『右を向いて寝た時は右肩』『左向きなら左肩』と下側になった肩がつぶれるため、肩の関節に痛みや症状を招きやすくなります。
『椎間板の負担』部分でもお話しましたが、体は一箇所が曲がれば重心(バランス)を真ん中に保とうとするため、肩がつぶれることで体が歪む原因にもなります。
整体やカイロプラクティックの1つの考え方に、ロベット・ブラザーチャートという、『1つの背骨がネジれると対応した別の背骨もネジれる』という法則があります。
肩がつぶれた場合は『肩の高さの背骨にネジれ』が起こるのですが、それに対応するのが『腰の上側の背中』になります。
教科書通りの症状は決して多くありませんが、横向きの寝方が続くことで腰椎のネジれが慢性化して歪みになり、腰痛の原因になることも考えられます。
また、うつ伏せで寝る習慣がある方は、左右どちらかを向いて寝ることも習慣化していて、ほとんどの場合で背骨の首部分(頚椎:けいつい)全体が歪んでいます。
先ほどのロベット・ブラザーチャートだと、背骨の首部分(頚椎)は全ての腰の骨(腰椎)と連動しているため、首が歪みが腰の歪みの原因にもなってしまいます。
その結果、うつ伏せで左右どちらかを向いて寝ることが、頭痛や肩こりの症状だけではなく、腰痛の原因にもなりうるのです。
つまり、人間は頭の上から足先まで『全身でバランスを保っている』ため、腰痛を予防するためには、体全体の歪みを考えた姿勢を意識する必要があります。
背骨の腰部分が反り過ぎない
『仰向けで寝ると腰が痛い』という方に限っては、『仰向けは腰痛予防になる』と言いながらも、腰が反ってしまい痛みの原因になります。
しかし、健康な方であれば『仰向けは腰が反らない姿勢』になるため、痛みが出る場合は体に問題があると考えられます。
詳しくは仰向けで腰痛が出る7大原因の改善・対処方法でお伝えしていますが、腰の反りが原因で腰痛が出る代表的な寝方は『うつ伏せ』になります。
うつ伏せは腰が反りすぎてしまう
『椎間板の負担』部分で、横向きの寝方だと『腰部分の背骨(腰椎)が猫背のような形になる』とお話しました。
うつ伏せの場合は横向きの寝方とは逆で、体の構造的に、腰部分の背骨(腰椎)が反りすぎてしまいます。
つまり、『うつ伏せで寝ると腰が痛い』というケースは、腰の背骨部分が本来の形よりも強く反ってしまうため、腰痛として出てくるのです。
その腰の反りが、椎間板に負担を掛ける原因になったり、腰痛の症状を引き起こすキッカケになったりします。
腰痛予防に最適な寝方は仰向けです
うつ伏せや横向きと比較してきましたが、腰痛を予防したり改善を目指すのであれば、『仰向けが腰に最も優しい寝方』だと言えます。
実際の所、『仰向けで寝ると腰が痛い』という方も少なくないのですが、それについても痛みが出る理由はいくつも考えられます。
次のページでは、『仰向けになると腰が痛い』という場合の7つの原因と、仰向けで痛みが出なくするための改善法や対処方法についてお話させて頂きます。